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CO2削減 日本の技術は活かせるか




身近に迫る地球温暖化。その原因となるCO2をどう削減するか。世界が直面する課題です。

2008年7月に開かれる北海道洞爺湖サミット。議長国  日本のリーダーシップに世界が注目しています。

日本が世界に提案している技術力を活かした温暖化対策。 オイルショック以降、日本の産業界が開発してきた高い技術。 これを中国やインドなど、CO2排出量の多い国々に移転し削減をすすめようというのです。 さらに、これまでの技術に加え革新的な技術の開発にものりだしています。




地球温暖化 問われる日本の戦略


温暖化が進めば地球環境への打撃が大きくなり、 経済的損失が拡大するという危機感が広がる中で、 有効な手立てを速く打つことで、負担を軽くすることが出来る、 という認識が共有されるようになりました。

省エネ大国 日本。
しかし、その日本は温暖化対策に後ろ向きではないか、 という厳しい指摘を去年(2007年)12月の国連の温暖化防止会議で受け、 サミット議長国としてのリーダーシップが問われています。

科学者の集まりである気候変動に関する政府間パネル (IPCC) は、人類が適応できる温度上昇を2℃台としています。

この温度上昇を2℃台に留めるためには、まず、2015年までに二酸化炭素の排出を頭打ちにし、 そして、2050年までに世界全体で排出を半分にする。 そのためには先進国は、2050年までに60%~80%削減する必要がある、としているのです。

これまでエネルギーを自由に使い二酸化炭素の削減に制約がなく豊かさを実現してきたなかで、 温暖化対策は、これまでの経済のしくみや生活スタイルの見直しを含む変革を求める可能性があるのです。

いまや温暖化対策で主導的役割を執ることが競争力強化に繋がる、とも言われるようになってきたなかで、 日本は、この重い困難な課題にどう向き合っていくのか。 日本の温暖化対策の柱となっている、技術。 日本は世界に先駆けて革新的技術を開発し、 そのすぐれた技術を発展著しいインドや中国などの国々に積極的に移転することで、 大幅な二酸化炭素の削減を目指そうという戦略なのですが、どこまで有効なのでしょうか。 まずは既にはじまっています途上国への技術移転の実態です。




技術移転でCO2を減らせ


今年(2008年)1月、福田総理大臣は国際会議 (ダボス会議) の場で、日本としての新たな温暖化対策を明らかにしました。

日本政府が提案しているのは、産業ごとに技術を移転しCO2の削減を行うセクター別アプローチという方法です。

北京にある製鉄所では、日本の技術によって省エネが進められています。 鉄を作る過程で発生する廃熱を利用して発電をおこないます。 1200℃まで加熱したコークスを冷却する際に出る高温のガス。 これを使って発電し、他の設備で利用します。 このしくみで、年間20万トンのCO2を削減できます。

技術移転は日本と中国の合弁会社(新日鉄エンジニアリングの合弁会社)を通じて行われています。 この合弁会社は、去年一年間で中国各地の製鉄所に30をこえる設備を普及させました。 設備の導入には、一機あたりおよそ30億円かかりますが、 電気代が節約できるため費用は5年で回収できる、といいます。

中国の全ての製鉄所に日本と同じ水準の技術を移転すれば、 年間2億トンのCO2が削減できるとみられています。 これは日本全体の年間排出量の15%に相当します。

しかし、途上国への技術移転には課題もあります。 中国南部、広州にある合弁会社(三菱重工業の合弁会社)です。 発電所で使うガスタービンを生産しています。 この会社の技術を使った天然発電所は、従来の石炭火力に比べて、 CO2を半減できます。この工場で作っているガスタービンの部品です。 誤差0.1ミリ以下という高い精度が要求されます。 しかし、高度な技術を持つ技術者の育成には、時間がかかるため、 生産が計画通りに進みません。

従業員の離職率の高さも課題です。 高い賃金を求めて転職する人が後を絶たず、 3年で4分の1あまりが会社を辞めました。

思うように進まない技術移転。 この会社では民間企業の努力だけでは限界があると感じじめています。

こうしたなか、政府と民間による技術移転の国際的なルールづくりも始まっています。 先月(2008年4月、韓国・プサン)、日本や中国、インドなど、CO2排出量が多い7カ国の政府と鉄鋼業界の代表が集まり、 セクター別アプローチの進め方について話し合いが行われました。
現状では国の技術力によって鉄を作る際のエネルギー効率が大きく違います。 そこで、各国にエネルギー効率の高い日本の技術を移転することにより、 エネルギー消費量を日本と同じ水準まで減らし、 CO2を削減しようというのです。

この日の会議では、CO2の削減目標をつくり、技術移転を進めていくことで一致しました。 しかし、インドと中国は、生産が抑制される削減の義務化に繋がるのでは、と懸念を示しました。

日本政府は、技術移転の実績を積み重ね中国やインドなどの新興国の理解得ることで、 世界の新しいルールにしていきたいとしています。




セクター別アプローチ 可能性と課題


日本総合研究所 会長 寺島実郎
日本として得意とする技術を移転して地球環境問題に立ち向かおうと、 このセクター別アプローチは非常に整合性のあるいいアプローチと思います。 ただ、整理しておかなければいけないのは、まず、セクター別アプローチとは何だ、ということです。

国別総量目標ということで、京都議定書で日本は今年から2012年までの間に、 1990年に比べて6%CO2を削減しなければいけない、という約束をしたわけです。 ところが、2006年の段階で、すでに90年に比べて6.2%増えてしまっている。 ですから、12.2%、2012年までに、日本国として減らさなければいけないという、 トップダウンでそれをどうやって実現していくのか、という問題と、 セクター別に、産業界ごとに積み上げて、日本の与えられた目標に対して、 どう近づけていくのか、という。 つまり、ボトムアップとトップダウンのアプローチとの整合性が問われている、 というのが現下の局面です。

ところが、国別総量目標かセクター別かとよく議論になるが、 実際にやろうとしていることは同じことで。 国別総量目標でアプローチしても、結果的には産業別にそれを落とし込んでいかなければいけないわけだし、 セクター別で積み上げていっても、日本が約束した数字に近づけていかなければいけないんだし。 そして、日本だけの話ではなくて、日本の技術を活かして、 世界全体の環境問題に立ち向かっていかなければいけないだし。 ということで、ある面ではこの流れは、きちっと繋がっていると思います。

ただ、セクター別アプローチというのは、いくつか問題もあります。
一つは、業界特性です。
セクター別アプローチがやりやすい業界。 例えば、鉄鋼。国際的な鉄鋼の横の連携というのも いままでの努力のなかで積み上げてきて、やりやすいですが、 業界によっては、国際的な機関もまだ定かでなかったり、 どうやってアプローチしていいのか、 柔らかい目標設定をしないととてもアプローチできないような業界もあるわけです。 さらには、業界別に積み上げた数字が、最終的に国別総量目標の数字に近づけられるか、 ということも必ずしも明確ではないわけです。

そういう面でいくつか問題を抱えてますが、 現実に、産業ごとに、あるいは民政にしても、 この問題に立ち向かっていくと時には、 セクター別で積み上げていかざるおえないだろう、 というのが現在の現状と思います。

ですから、それぞれの国が自分たちの国のルールということで主張 しているなかで、日本は、例えば、日本のものづくりを軸にした産業国家として、 いままで進んできたわけですから、 日本の価値にふさわしい環境問題に対する目標設定。 例えば、とかく排出権取引がマネーゲームに傾斜していってしまいかねないような危険をはらんでいるなかで、 日本らしい環境問題に対するルールを主張して、 流れから阻害されるのではなく、先頭に出て行ってルールづくりに参加する姿勢が問われていると思います。




革新技術でCO2を減らせ


革新的な技術を世界に先駆けて開発して、積極的に二酸化炭素の 排出量を削減しようという現場での取り組みです。

CO2をまったく排出しない燃料電池車。 燃料は水素です。 一回の充填で600km以上走ることができます。 太陽光で発電した電気を使って、水から水素を取り出す研究が進められています。 燃料をつくる段階からCO2をまったく出さないしくみです。 このクルマを開発したメーカー(HONDA)では、 アメリカと日本で今年(2008年)から販売を始める予定です。 普及に向けての課題は、製造コストの高さです。 現在では一台数億円とみられています。 車体の中央に積まれている燃料電池には、高価な金属が大量に使われています。 さらに、構造が複雑で量産が難しいのが現状です。 しかしメーカーでは、技術革新を進めることで、10年後、 販売価格を1000万円まで下げることを目標にしています。

自然エネルギーの分野でも、技術革新が進められています。 国と北海道電力などが70億円をかけて建設している実験用の太陽光発電所です。 広さは東京ドーム3個分。 12000枚のソーラーパネルが設置されています。 天候に左右され不安定の太陽光発電の電力をいかに安定させるか、 研究を進めています。

こうした大規模な太陽光発電所を世界中に普及させるためには、 発電コストの削減が不可欠です。 日本の電気メーカーでは、発電効率の高い太陽電池の開発を急ピッチで進めています。 これは集光型と呼ばれる太陽電池。 光を集めるレンズの下には、わずか数ミリの太陽電池のチップが置かれています。 特殊な金属を使った高度な技術で、発電効率は従来のおよそ2倍です。 太陽の角度に合わせてパネルが動くように設計され、光を漏らさず集めます。 これまでにない新しい素材を使った太陽電池の研究も進められています。 光を受けると電子を発生する色素の特性を活かします。 大掛かりな製造設備が要らず、コストの削減が期待されています。

政府は、燃料電池車や太陽光発電など、21の革新技術の実用化に向け、 今後10年間で1兆円を投したいとしています。




地球温暖化 問われる日本の戦略


日本総合研究所 会長 寺島実郎
日本の再生エネルギーの技術革新のレベルは世界をリードしているというのは間違いありません。 そういう面で、日本が一歩前に出ている技術に関して、 21項目を経済産業省が出しています。 今回のサミットで、G8先進国で、例えば、技術を共同開発したり、 共同で普及させていくようなしくみをつくる、一歩踏み込みができれば 大変意味のあることだと思います。

そして、もっと重要なのは財源措置ですね。 お金がかかることに関して、それぞれの国が分担して、 というものあるけれど、新しい発想というものが問われてきていると思います。

というのは、そもそも、地球環境問題というのは国境線を越えた問題で、 地球を一つの単位として全体でみなければいけないような話です。 それを再び国家の問題に引き取ってきて、国家間でせめぎ合って、 あなたより私の方が責任持ちたくないとか、排出権の取引がどうだとかという議論にしがちですが、 実際は新しいしくみというか、地球を一体とした新しいしくみがいる。

その財源措置として、今もすでに世界53カ国がその流れに賛成しながらつくっているんですけれど、 例えば、国際連帯税というような発想が出てきています。 つまり、国境を越えたマネーゲームに課税をして、 薄く、例えば、為替の取引に0.05%ぐらいとって、 それをこういった新しい環境対応の技術の開発の財源や普及の財源にする。 特に、途上国に移転していく時にお金がかかるわけです。その財源にするとか。 南極や北極、どの国が責任を持つかわからないようなテリトリーの 環境問題に立ち向かっていくだとか。 新しい地球環境問題に対する財源措置をしようという発想というのが出てきています。

日本でもすでに50人以上の国会議員の超党派の人たちが、 国際連帯税構想を進める超党派の議員連盟、 というのをつくりはじめています。

今回の洞爺湖サミットに向けての流れというのは、 我々気がついているように、サブプライムローンの問題が爆発して、 世界の金融システムが不安を抱えてるという状況と、 世界の地球環境問題にどう立ち向かうのかという二つの大きなテーマに向かっていると思います。

そういう時に、過剰なマネーゲームで世界の金融システムがおかしくなっているというのがサブプライムの問題ですから、 マネーゲームに対して制御をかけて、 その財源から地球環境問題に対して立ち向かっていくんだ、という発想が出てくると、 大きなパラダイム転換というか、つまり、洞爺湖でのサミットをきっかけにして、 世界の新しい悩み・課題に立ち向かっていくようなしくみがみえてくると思ってます。

ガバナンス(governance)ということなんですが。 日本の国内でも環境問題に関与している省庁というのが多様に存在しているわけですけども、 そういう人たちの利害や問題意識を束ねて、さらに国際社会のなかで、 とにかく京都議定書に入ってきてない中国やインド、アメリカをも どうやって引き込んでいくのかということですから、 そのためには、説得力のあるシナリオがいるんです。 そのシナリオに、どこに比重を置いていくのかということが 試されているのだと思います。

ですから、国際的なルールづくりの流れのなかから、隔絶してたのではいけないです。 むしろ、イエス (YES) から入って、排出権にしても、国別総量目標にしても、 具体的な形で踏み込んで、 日本の主張すべきところをより明確にしていく。 日本のなりわいにふさわしい主張をしていく。 というのが洞爺湖に向けての日本の基本スタンスであることだと思います。

 

20th May 2008
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