♪ WARATTE SPECIAL ♪

TOMORROW 地球の奇跡、日本の農のめぐみ The miracle of the earth - agriculture in Japan いのちは支えあう 第3次生物多様性国家戦略 BIODIVERSITY

♪ WARATTE PHOTO REPORT ♪


♪ MAIL ♪

Your voice is welcome メールを送信する メッセージフォームをつかう


人権活動の最前線から 女性と子どものいまと未来



2007年11月22日、東京千代田区の共立女子大学で、ノーベル賞受賞者を囲むフォーラム、 『21世紀の創造 平和フォーラム東京』が開かれました。 テーマは、「人権活動の最前線から 女性・子どものいまと未来」です。 フォーラムの第一部では、2003年のノーベル平和賞の受賞者 シリン・エバディさん(イラン・弁護士)の基調講演。 第二部では、パネルディスカッションが行われました。

シリン・エバディさんはイスラム世界の女性で初めて受賞しました。 民主主義と人権、女性や子どもの権利擁護に大きく貢献したことが評価されました。 イランの首都テヘランがエバディさんの人権活動の舞台です。 テヘラン大学卒業後、イラン初の女性裁判官のひとりとなった エバディさんは、1979年のイラン・イスラム革命後辞職を余儀なくされました。 その後弁護士になり、子どもの養育権をめぐる裁判や治安機関が係わった連続殺人事件を追及し、投獄される経験を しながらも、人権問題や女性や子どもの権利の確立に取り組んでいます。 法律についても多くの著書があります。 先日出された自伝(『私は逃げない』)の中で、暗殺者リストに名前があったことを明らかにしています。



イランと世界の女性の権利に関する一考察



以下、第一部シリン・エバディさんの基調講演『イランと世界の女性の権利に関する一考察』の内容です。


皆さま、私たちは現在第三千年期に入り2007年を生きております。 確かに人類は、科学技術の面では大きな飛躍を遂げてまいりました。 しかしながら、文明はそれに匹敵するほどの十分な発展はしていません。 男女に平等な権利を与えるまでには至っていないのです。 世界中の至るところで、女性は男性と平等な権利を得ることができていません。 抑圧された存在なのです。


欧米の現状


例えば、ヨーロッパ諸国やアメリカでは、法律によって男女平等の権利が定められています。 しかしながら、こうした国々でも女性の閣僚の数は、男性の閣僚の数よりも随分少ない状況です。 また、経済や金融に関しても、影響を及ぼすことができるような重要な役職に就いている女性は本当に少数です。 女性は、社会と家庭と二つの役割を担わなければならないからです。 私はこれまで北欧諸国に暮らす女性は他の国の女性より恵まれた状況にあるのだろうと考えていました。 ところが、フィンランドで行われたセミナーに参加した時のことです。 そこの人たちから、ユーロのコインの形をしたバッヂを付けて欲しいと言われました。 このユーロのコインは、2割が欠けていて8割が残っている、そういう形をしたものだったのです。 フィンランドの女性がその意味を説明してくれました。 それによると、フィンランドでは女性の賃金が男性の8割しかありません。 それに抗議し男性と同等の地位を要求するためにこのバッヂを作ったということでした。


アフリカ・アジアの現状


さて、アフリカの国々では、差別的な法律があるのに加えて、女性を抑圧するような伝統的な信仰や古い考え方が存在します。 例えば、ソマリア、スーダン、ナイジェリアなどの国では、まだ女性に対する割礼、つまり、女性性器の切除が行われています。 アジアの国々に於いても同様です。 差別的な法律自体は少ないものの、そもそも文化的には父権的(paternalistic)な文化であるために、 女性は、社会で平等な地位を得られていません。これはもちもん女性の能力が低いからではありません。


イスラム諸国の現状


そしてイスラムの国々ですが、ここでもまた女性の置かれた状況は、様々に不適切であると言わざる終えません。 勿論、国によって夫々状況は異なっています。 サウジアラビアでは、女性は身分証明書すら持てませんでした。 つまり、市民として認められていなかったのです。 今でも、社会的な活動に参加する権利などは無いのです。 バーレーン、クウェート、イエメンを始めとしたイスラムの国々の多くでは、女性は市民であることは認められていますが、 しかし、市民としての一般的な権利は認められておらず、いわいる二級市民として扱われています。 つまり、男性と同じ権利を持つべき存在としては考えられていないのです。 一夫多妻制は広く行われている慣習です。 また、娘の結婚に対する父親の意見は絶対で、必ずその通りにしなければなりません。 女性の地位と価値は、息子を何人生んだかで決まります。 時には、女性は自分の名前では呼んでもらえずに、 息子の名前で呼ばれたりする状況です。


イラン女性の法的立場


皆さま、次にここからは少し、イランの女性が置かれている法的立場、法的地位についてお話したいと思います。 イランの大学生の65パーセント以上が女性です。 つまりイランでは、高い教育を受けた人の数でいえば、女性の方が男性より多いのです。 イランの女性は、50年も前に既に選挙の投票権を得ています。 これは、スイスの女性が投票権を得るよりも前のことです。 そして、国会議員になった人も多かったのです。 投票権を得た当時から、イランの女性は国会に参加し、その後も常に女性議員がいる状況が続いています。 現在も13人の女性議員がいます。 原理主義者の代表であるアフマディネジャード大統領の補佐官にも女性が含まれているのです。

いくつか例を挙げたいと思います。 イランの法律では、男性は4人の妻を持つことができ正当な理由なく妻と利用できます。 しかし、女性の方から離婚を勝ち取るのは非常に難しく、不可能な場合もあるのです。 また、イランの法律では、女性の命の価値は男性の半分とされていて、裁判で証言する際にも女性2人の証言と男性1人が同じ 価値であると定められています。 ノーベル平和賞はじめ様々な賞を受賞しているこの私が、仮に法廷で証言しなければならないとすると、 女性だからという理由で私の発言は受け入れてもらえないということなのです。 また、イランでは、女性が仕事をしたり旅行をしたいという場合には、夫からの許可を書面でもらわなければなりません。 私も東京を訪れこのセミナーに参加するために夫からの許可が必要でした。

こうした例が明白に示しているのは、イランの女性に押し付けられている法律と、 イランの女性が実際に手にしている文化的、社会的地位とが全く合致していないということです。


反女性的法律の大本はイスラム法か?


さて、このような反女性的な法律の大本は何かということですが。 そもそもイスラム法が原因であるという人もいますが、これは正しくありません。 というのは、イスラム教も他の宗教と同じように、様々な解釈があるからです。 例えば、サウジアラビアの女性は自動車を運転することすら許されていません。 一方で、インドネシアやパキスタン、バングラディシュなどでは、もう随分前から、政治指導者、つまり大統領や首相の職に 女性が就いてきました。こうした違いは、イスラム教の解釈が様々であることからきています。


家父長制的文化が原因


私は、イランの女性に差別的は法律が押し付けられている原因は、イランの極めて家父長制的な文化にあると考えています。 この文化が、イスラムをこのように解釈することを可能にしているのです。


解決方法は「政教分離」


私は、この問題を解決する最も良い方法は、政教分離、つまり、政治と宗教とを分けることだと思います。 政教分離を行えば、政府は宗教を口実にして女性を抑圧することができなくなります。 しかし、これと同時に家父長制的な文化と戦うことを忘れてはなりません。 家父長制的文化といった場合、男性そのものを意味していません。 人間全てに平等の権利があることを認めない間違った文化のことです。 残念ながら女性はこうした間違った文化の犠牲者である一方で、その担い手でもあります。 女性は、被害者であると同時に加害者でもあるわけです。 威張り散らす男性も女性によって育てられて大きくなったということを忘れてはなりません。 全ての女性が負っている文化的義務の中で、最も大切なのは、こうした文化の持つ様々な面をよく理解して、その文化と戦っていくことです。


イラン女性の法律改正への闘い


イランの女性たちは、イスラムの名の下で、不当な抑圧を受けているよ強く感じています。 そこで女性たちは何年も前から法律を改正する闘いを続けています。 イラン・イスラム革命が起こった時、私は裁判長をしていました。 革命を進めた人々は、イスラム教では女性が判決を下すことは禁止されていると言いました。 そのため私を含む女性裁判官は全員解任され、管理部門の事務員にされてしまいました。 このような不当な扱いは受け入れがたく早期退職しました。 その後、司法試験を受けて資格を取り弁護士事務所を開いて活動してきました。 しかし私は、司法省に残った女性たちや法学教授たちと共に闘いを続けてきました。 イスラム法学者と議論を重ねました。 そして最終的にイスラム教は女性が裁判官になることを禁止していないと証明できたのです。 彼らが女性から裁判官の地位を剥奪したあの日から13年が経っていました。 司法のトップが女性も裁判官になれると宣言し、今ではイランにも女性裁判官が何人かいます。

もう一つの例が子ども親権についての法律です。 イスラム革命直後の法律では、離婚後母親である女性が 子どもの親権を求めるのは息子の場合は2歳まで、娘の場合は7歳まででした。 その後は、親権は母親から父親に移り、子どもたちは父親の元に移されたのです。 イラン女性は、この不当な法律と闘い3年前に修正されました。 現在は、7歳までは母親の元に、その後は子どもの利害のみを考えて決定されます。


女性差別防止プロジェクト


最近、イランの女性解放運動は女性差別を防止するためのプロジェクトを行っています。 私たちは、キャンペーンを行い女性を差別する法律に反対するイラン人男女の署名を集めています。 100万人の署名を集めることができれば、イラン政府が女性に押し付けている差別的な法律にイラン女性は反対 していると世界の人々に証明できるのです。 私たちのプロジェクトを多くのイラン人男性が支持しています。 女性の権利と民主主義とは天秤の両端でバランスをとるものです。 民主主義でありながら女性に対して差別的な法律を持つ国など果たしてあるでしょうか。 どんな国でも女性解放運動が勝利すれば真の民主主義への道が開かれるのです。 勝利という言葉の真の意味は、全ての女性の勝利ということです。 女性を差別する法律全ての撤廃を意味します。 ひとりやふたりの女性が権力を手にしたとしても、それは全てを解決する万能薬にはなりません。 意識を持って平等を勝ち取ろうとする女性こそが民主主義を推し進めるのです。 民主主義は歴史の中で形作っていくプロセスであり、その道のりは達成されなければなりません。 民主主義を手にするために女性の役割が重要なのは、全く議論の余地がありません。 女性の勝利は、すなわち民主主義への道のりが短縮されることです。 イラン女性、また世界の女性の勝利を私は祈っています。

 

11th Feb. 2008
Go Report Index

 

Feel human being この人の生き様 on Web Magazine Waratte ! No Smile No Life

2007.12.21
ウツの時代、五木寛之さんの話から
2007.12.22
走った距離は裏切らない、女子マラソン野口みずきの挑戦
2008.01.07
あの人からのメッセージ2007、気骨の人たち、城山三郎
2008.01.12
パブロ・ピカソ作「ゲルニカ」20世紀の黙示録
2008.02.11
人権活動の最前線から 女性と子どものいまと未来
2008.05.03
「私はダメじゃない」を貫いて、漫画家 一条ゆかりの創作の原点
2008.05.05
『 カリアティッド 』 アメデオ・モディリアーニ、薔薇色に燃えて散った男の一枚
2008.05.15
ドストエフスキー 「白痴」  入り口も出口もない物語
2008.05.23
オリンピックとわたし 有森裕子
2008.06.13
魂の大地 ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」
2008.06.14
孤高の人、フィンセント・ファン・ゴッホ作、『古靴』
2008.07.13
「山 富士山」片岡球子
2008.08.13
日本人の心を守れ-岡倉天心、廃仏毀釈からの復興
2008.09.17
わたしの ” じいちゃんさま ”-写真家、梅佳代
2008.10.29
神々のうた、大地にふたたび アイヌ少女・知里幸恵の闘い
2008.11.12
他人まかせの巻-横尾忠則 「少年」の心得-
2008.11.13
ニッポンを主張せよ アーティスト 村上隆
2008.11.15
I Have a Dream キング牧師のアメリカ市民革命
2008.11.29
漫画家  西原理恵子「トップランナー」での発言集
2008.12.08
プロ魂 王監督のメッセージ
2008.12.20
一人、そしてまた一人  マザー・テレサ 平和に捧げた生涯