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教育で国の未来を切り開け



グローバル化する競争社会。国の将来を担う人材をどう育てるのか。ヨーロッパの国々で模索が続いています。

学力の向上を図るため、20年前、教育に競争原理を導入したイギリス。 学力格差が広がり、基礎学力が身についていない子供たちの対応に追われています。
一方、北欧の国フィンランドでは、 知識を身につけさせる教育から考える力を養う教育へと政策を転換。 改革は成果を上げ、日本を始め世界各国から教育関係者が毎日のように訪れています。
グローバル競争時代を生き抜く人材を育てるため、 教育を強化するEU各国。国の未来を教育で切り開こうという戦略に迫ります。



社会に出た後も、生き抜く力を備えた子供たちを育てていくにはどうすればいいのか。 急速に情報技術の進歩で、これまでの知識が時代遅れになりやすく、インドや中国など新興国に従来の仕事が移っていく。 変化の非常に激しい時代の中で、今の子供たちは育っています。 新しい仕事が生まれても、それに適応できる能力を持った人材。 つまり、生涯にわたって仕事を得ることができる人たちを育てていくことが、日本だけでなく各国にとって、教育の重要課題です。 特に先進国では、競争力を保ち持続的な発展を実現していくためには、 技術の進歩を生み出すことが出来る人材が大きなカギとされています。

学力の低下、学力格差の広がり、更には国際的な学力調査で自分で考える力が身についていない、と指摘されている日本 ですけども、ヨーロッパでは、EUが2000年に、『知識を基盤とした経済を構築する』というビジョン を掲げ、いま各国ではそれに向けた教育改革の取り組みが行われています。
競争力の導入を20年前に行ったイギリスの現状からみていきましょう。




教育に競争を、イギリスの模索


ロンドン市内にある公立の小学校です。
給食の時間、食堂に特別なテーブルが用意されます。 この学校では、成績や学習態度が良かった子供たちだけにケーキやジュースが与えられます。 イギリスでは、子供たちを競争させることで学習意欲を引き出し、学力の向上を図ろうとしています。

1988年、当時のサッチャー政権は、経済の低迷から抜け出すためには 人材育成がかかせないとして、教育改革に乗り出しました。 教育に競争原理を導入。全国統一の学力テスト(全国統一テスト)を行い。 その結果を公表します。 子供たちが行きたい学校を自由に選べる学校選択制も始まり、 成績のいい学校には、より多くの子供が集まるようになりました。 補助金の配分は子供の数に応じて決められ、競争に一層の拍車がかかりました。 社会に活力が戻り、90年代半ばには、最高4パーセントの経済成長を記録しました。 しかし、競争原理の導入は、新たな課題を生みました。
1996年、国が11歳を対象に行った調査で、半数の子供が、国が求める学力水準に達していないことが 明らかになったのです。


ロンドン大学、ジェフ・ウィッティー教授
競争原理の導入によって、成績のいい学校には益々優秀な子が集まるようになりました。 それによって、成績のいい学校と成績の悪い学校との格差が、更に拡大していったのです。


1997年に発足したブレア政権の課題は、競争の導入によって得られた成果を維持しながらも、 学力の低い子供たちの底上げをいかに図るかでした。 読み・書き・計算の能力を高める、基礎学力向上戦略を打ち出したのです。 教育予算に2倍に増やし、教員の数を20万人近く増員して、成績の悪い学校に重点的に配置しました。

ロンドン市内のサウスウォールド小学校です。
小学6年生の授業です。低学年で学んだ九九を、リズムに合わせて勉強し直しています。
1クラス20人の子供に対して、教師は5人。
基礎学力が十分身についていない子供には、特別授業を行います。
単語の綴りなど、マンツーマンで丁寧に教えます。
競争によって生じる学力格差の問題をどう乗り越えていくのか。イギリスの模索が続いています。

教育省、資格・カリキュラム担当、スー・ホーナー指導官
国の役割は、子供たち一人ひとりの基礎学力のレベルを的確に見極め、その子の学力を伸ばすことです。 そのためには学校や教師を手厚く支援しなければなりません。 私たちはこうして国全体の教育の質を向上させていきたいと考えています。




学力格差、どう埋める


ここは、パリにありますOECD経済強力開発機構の本部です。
先進国30カ国が加盟し、経済成長を続けていく上での課題を探っているOECD。 今最も力を入れているものの一つが教育です。 変化の激しい現代社会の中で、生涯にわたって知識を学び、そしてそれを実際に活用していく力を 持つことが大事だとしています。
そして、2000年からは、PISA(学習到達度調査)を行い、 その結果は各国の教育政策に大きな影響を与えてきました。
去年(2007年)12月に発表された三回目の結果で、日本の子供たちの学力低下、学習意欲の低下が明らかになりました。
世界で求められている学力、能力とはどういったものなのか、 PISAの統括責任者、アンドレア・シュライヒャーさんに伺いました。


司会
今、イギリスを始め、多くの国々が学力格差の問題を抱えています。 学力格差を埋める秘訣はなんでしょうか。 格差を是正するため学校にはどんな対策が求められているのでしょうか。

OECE教育局指導分析課長、アンドレア・シュライヒャー
全ての子供たちが学ぶ意欲を持てる環境を整えることが大切です。 そして、どこでつまずいているのかを見極め、適切なフォローを行う必要があります。 日本では、塾などがそうした役割を担っているようですが、本来は、学校の教師の仕事です。 学校と教師が、子供たち一人ひとりの理解度に合わせて支援し、学力格差の是正に取り組むことが必要です。




考える力、どう育てる


司会
PISAの問題を見ましたが、正解が一つという問題は一つもありませんでした。 PISAは、どのような学力を測ろうとしているのでしょうか。

OECE教育局指導分析課長、アンドレア・シュライヒャー
化学のテストで、元素の周期表を暗記しているかどうか。
蜘蛛には足が何本あるのか。
こうした知識を身につけているか確かめるのは簡単です。 しかし、私たちが必要と考える学力とは、そうした知識ではなく、問題を科学的に考える能力です。
考えてみてください。
実際の人生では、答えは一つではなく、状況によって複数あるものです。 知識を繋ぎ合わせて科学的に導く能力。 PISAは、そうした能力を測ろうとしています。


司会
しかし、学校ではそうした能力を身につけさせる教育をすることには、慣れていないのではありませんか。 先ほどおっしゃったように、簡単に教えられ、簡単にテストできる、知識教育に時間を割いてきたのではないでしょうか。

OECE教育局指導分析課長、アンドレア・シュライヒャー
教科書で学ぶ知識は、すぐに時代遅れになります。 一生懸命暗記しても、大人になったら一向に役に立たないかもしれません。 必要なのは、状況を分析し、他人に論理的に説明し、情報を批判的に捉える能力。 様々な分野の知識を繋ぎ合わせて、問題を解決に導いていく能力なのです。
これからの社会は、簡単に暗記できたり、テストで簡単に測れる能力は、どんどん必要ではなくなってきます。 そういった能力は、コンピューターの方が人間よりも優れているからです。
若い世代は、状況に応じて臨機応変に対応しなければなりません。 大人になって求められるのは、幅広い事柄に適応できる能力です。 様々な人と強調し合いながら、一緒に働く必要がありますし、非常に厳しい労働市場で生き抜かなければなりません。 状況に応じて問題を解決していく能力こそが最も大切なのです。




考える力を養う、フィンランド教育


OECDの学習到達度調査、PISAで毎回好成績を修めているのが、北欧の国、フィンランドです。 学力世界一、と評される教育とはどのようなのものなのでしょうか。

首都ヘルシンキ郊外にあるティックリラ小学校です。
この日、4年生は身近な自然環境を学ぶ授業を受けていました。 子供たちは森の中を自由に観察し、発見した様々なことをノートにまとめていきます。 教師は知識を教えるのではなく、子供たちが自ら発見し、考えるのを手助けします。

かつてフィンランドの教育は、知識を身につけさせてることに重点が置かれていました。 転機となったのは、1991年ソビエト連邦の崩壊でした。 ソビエトに経済的に依存してきたフィンランドは、深刻な不況に陥り、失業率はおよそ20パーセントにも達しました。 国家の危機を救うため大胆な教育改革に乗り出したのが、当時、教育相だったオッリパッカ・ヘイノネンさんです。 子供一人ひとりが自分の力で考える教育への政策を転換しました。 情報通信など、新たな産業を起こす人材を育成し、自立した国を目指そうとしたのです。

オッリパッカ・ヘイノネン元教育相
教育は投資です。これは国の競争力に関わる問題です。 教育大臣になった当時、フィンランドは不況の真っ只中でしたが、 私は、そこから抜け出すには人という資本に投資するのが一番よい方法だと考えたのです。


フィンランドでは、それまで国が教材の選定や指導内容、カリキュラムなどを細かく定めていました。 その権限を地方自治体と学校に委譲し、現場の裁量で決められるようにしたのです。

オッリパッカ・ヘイノネン元教育相
学ぶということは本来、とても繊細で個人的で、また、非常に複雑なことなのです。 私たちは子供たちに、そうした本来の教育を受けさせるために、多くの権限を現場に委ねました。 子供たち、教師、そして校長に任せたのです。国が決して阻害してはならないのです。


教育の現場に権限を移すことができた背景には、質の高い教師の存在があります。 フィンランドでは、教師は社会的地位が高く憧れの職業です。 大学の教育学部に入学できるのは、志願者の10人に1人。 更に、実際に教師になるためには、大学院の修士課程を終了しなければなりません。 教壇に立つには、のべ半年間の教育実習が必要です。 厳しい指導に耐え切れず、教師の道を諦める学生も少なくありません。

考える力を養うための教育は、子供が学校に入学する前から既に始まっています。 全ての子供を対象にした就学前教育です。 この日は、りんごやサイコロなど様々なものを使って、水に浮くものと浮かないものがあることを学ばせました。 子供自身に結果を予想させてから実験に移ります。

フィンランドは、子供たちに考える力を身に付けさせてことで、国の未来を切り開こうとしているのです。

オッリパッカ・ヘイノネン元教育相
自立した国になるためには、国民一人ひとりが新しい出来事に対処する能力、将来思わぬ問題が起きた時に 解決する能力を身に付けなければならないと考えています。




どうする、科学離れ


司会
3回目のPISAの結果で、日本の子供たちはフィンランドの子供と比べると、 基礎知識と考える力の両方とも劣っているという結果が出ました。 日本の教育に何が欠けていると思いますか。

OECE教育局指導分析課長、アンドレア・シュライヒャー
フィンランドの子供たちは、科学に対して非常に前向きに向き合おうとしています。 科学は、生活に直決するものだと考えています。 科学の授業で学ぶことに強い興味や関心を示します。 一方、日本では科学離れが進んでいます。 科学が、個人の生活や将来の仕事にとって重要だと考えていないようです。 大変憂慮すべき事態です。


司会
子供たちが科学に興味を持つようになるには、フィンランドのように小学校に入る前の教育が重要なのでしょうか。

OECE教育局指導分析課長、アンドレア・シュライヒャー
必ずしもそうではありません。 教育プロセス全体の問題です。 科学の知識を覚えさせるだけでは科学的な思考力は身に付きません。 身の回りに楽しいことが溢れている今の子供たちには、科学に興味を持たせるには、魅力的な学習環境が必要です。 これは、教師にとって難しい仕事です。 かつては、決められた知識を子供たちに伝えるだけでしたが、今は、子供たち一人ひとりの能力とやる気を把握し、 その子に合った教育を行うことが、教師になによりも求められているのです。




教育改革成功のカギは


司会
今多くの国々が教育改革に取り組んでいますが、成功させるために何が重要なのでしょうか。

OECE教育局指導分析課長、アンドレア・シュライヒャー
教育システムがうまく機能している国では、生徒にどのような能力を身に付けさせたらいいのか、 ビジョンや目標が明確に定まっています。 そして、教師はどんな知識を教えるのかではなく、子供たちの人生をどう導くかを大切にしています。 更に、教師だけに任せるのではなく、行政が支援していく体制ができているのです。
2点目は、教育に関する権限や責任が、学校現場に移されていることです。 学校は、教育に対する沢山の責務を担っていて、その結果を引き受けます。 行政が介入するのは、教育の現場で何か大きな問題が起こった時だけでいいのです。 基本的には、学校の自主性を尊重し、支援していくスタンスが大切です。
3つ目は、子供たちが進みたい将来に対し、門戸が広く開かれていることです。 そして、一人ひとりに合わせた支援体制が整っていることです。
PISAの学力調査で良い成績を修めた国は、いずれもこの3つの要素を満たしているのが特徴です。


グローバル競争時代、必要な能力とは


司会
常に新しい知識を習得し、それを常に状況に合わせて使う能力を磨く必要がある。 子供たちにとっては大変な時代になりましたね。

OECE教育局指導分析課長、アンドレア・シュライヒャー
そうですね。世界の明日が見えない今、子供たちを取り巻く環境は、一層厳しくなっています。 子供たちは、自分の能力を知り、見極める力が求められています。 でも、見方を変えれば、今の世界は逆に面白いかもしれませんよ。 適切な能力を身に付ければ、自分に合った仕事や職場を見つけられる可能性は大きく広がっています。 より充実した人生をおくれるチャンスは増えているのです。 そのためには能力を身に付ける必要があります。 ですから教育は、かつてないほど重要な役割を担っているのです。


気候変動の脅威とグローバル化がもたらす激しい変化にさらされている 先進国は、持続可能な新しい社会システムづくりという答えの見えない大きな課題に直面しています。
シュライヒャーさんは、予測できない事態が起きても様々な人々と強調しながら創造的な解決策を 見い出していくことが出来る人材を育てることが大事だとしていました。

今回ヨーロッパで、繰り返し耳にしたのが、『コラボレーション』協調と、 『イノベーション』革新・刷新という言葉です。

新しい社会システムをつくっていくために、国や自治体、企業、そして個人の能力を幾重にも組み合わせた 試みを、積み重ねていくことができるのか。 27カ国の統合という壮大な実験を続けているEUは、その経験や知恵を生かしながら、 『コラボレーション』の可能性を探る大きなうねりを創り出そうとしているように感じました。

 

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