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未来への提言 希望ある未来を切り開くために 地球温暖化に挑む
経済学者 ニコラス・スターン博士からのメッセージ
地球エコ2008



◆ イントロダクション


地球温暖化。
人類がかつて経験したことのない危機が間近に迫っています。

宇宙からの目が加速する温暖化の姿を捉えました。氷大陸、南極に現れた異変。NASAの科学者は警告します。

NASAジェームズ・ハンセン博士
我々が温室効果ガスを出し続ければ危険なポイントを超えてしまいます。危機を回避するために残された時間はあと数年です。

温暖化を食い止める鍵は二酸化炭素の削減です。 ヨーロッパでは、産業革命以来の大転換が始まろうとしています。

二酸化炭素を常に意識する新しい価値観が人々の暮らしやビジネスを大きく変えようとしているのです。 世界的経済学者は、「この転換は人類の生存をかけた挑戦だ」と訴えます。

経済学者 ニコラス・スターン博士
経済のしくみを変えれば、二酸化炭素の排出を減らしながら経済成長を続けられる社会が実現できます。

私たちは危機を乗り越えられるのでしょうか。



◆ 経済学者 ニコラス・スターン博士のメッセージ


地球温暖化についての画期的な報告書をまとめた ニコラス・スターン博士は、イギリスの名門大学、 ロンドン・スクール・オブ・エコノミックスの教授です。 スターン博士は、世界銀行のチーフ・エコノミスト、イギリスの経済担当政府特別顧問などを歴任しました。 イギリス政府の依頼を受けてまとめたスターン・レビュー(気候変動の経済学) [ The Economics of Climate Change ] は、 世界中の政府や企業の行動を大きく変えるほどの衝撃を与えました。 スターン博士の行ったのは、温暖化の経済的コストの試算です。 このまま対策を取らず温暖化が進んだ場合、台風や洪水、干ばつなどによる世界経済の損失は、 最大で世界のGDPの20パーセントに達します。 これは、過去の世界大戦並みのスケールの被害額に相当します。 一方、温暖化を食い止めるため世界が協力して対策を進めた場合のコストも試算しました。 その額は、世界のGDPの1パーセント。温暖化対策にかけるコストの方が、はるかに安くつくことがわかったのです。 スターン博士が提唱する温暖化対策の中身とは、いったいどのようなものなのでしょうか。


ニコラス・スターン博士
スターン・レビューで強調したかったのは、今、ただちに温暖化対策を 始めることが、経済的なメリットを生む、ということです。 経済が人々の行動を促せば、二酸化炭素の排出が少ない低炭素社会をつくることができます。
例えば、スタンドでガソリンを買ったとしましょう。 私が支払う代金には、普通、ガソリン代そのものとスタンドの経費が含まれています。 しかし、私の車が出す二酸化炭素が地球に与えるダメージについては、 私はその対価を支払っていません。 我々経済学者に言わせれば、これは市場経済の限界を示しています。
いまこそ適切な政策が必要です。 まずは人々を、二酸化炭素を出す行動から出さない行動へと促さなければなりません。 その為には、二酸化炭素に価格を付けることが重要です。


北欧のスウゥーデン。
スターン博士が提唱する二酸化炭素に価格を付けることで、二酸化炭素の削減に成功しています。 切り札は、その名も炭素税
二酸化炭素の排出量に応じて、化石燃料に掛ける税金です。

ストックホルム市内のスタンドです。
ガソリンの他、エタノールも売られています。 二酸化炭素を吸収するトウモロコシなどの植物から作られたバイオ燃料です。 価格を見てみましょう。 1リッターあたりおよそ225円のガソリンに比べて、エタノールは70円も安くなっています。 ガソリン価格のおよそ20パーセントに相当する炭素税が掛かっていないからです。 50リッター入れれば、価格の差は3500円にもなります。

スウゥーデンのガソリンとエタノール価格

スウゥーデンでは、エタノール車や二酸化炭素の排出が少ない ハイブリッド車などのエコカーの普及を積極的に進めています。

都心に入る車に掛けられる渋滞税。一日最大1080円。エコカーに乗っていれば無料です。

スウゥーデンの渋滞税の掲示板

また、市内の駐車場では、エコカーシールがあればどこに止めても駐車料金を払う必要がありません。

スウゥーデンのエコカーシール

政府のエコカー優遇政策は、企業にとっても大きなビジネスチャンスを生んでいます。 購入の際、エコカーなら一台およそ18万円の補助金がもらえるため消費者がこぞってエコカーに切り替え始めたのです。 今年(2008年)各自動車メーカーは、全部で19もの新型モデルのエコカーを発表します。 2010年には、新車に占めるエコカーの割合は、50パーセントになるとみられています。
スウェーデンでは、税金と優遇策を使って、車から出る二酸化炭素を減少に転じさせることに成功したのです。


ニコラス・スターン博士
二酸化炭素を出さないことが得になるような強い動機付けが重要です。 そうすれば企業は二酸化炭素の排出量がゼロの車を作りたいと考えるでしょう。 排出量ゼロの発電も効果的です。 炭素に適切な価格を付ければ、もっとエネルギーの効率化が図られるでしょう。 もちろん、削減対策のためのコストは、GDPの1パーセントくらいの負担増になります。 でも、企業のコストは常にプラス・マイナスがありますから、1パーセントは変動の範囲内でしょう。 けっして、経済成長を止めるわけではないのです。


EUでは、二酸化炭素そのものに価格を付けて売買するしくみも始まっています。 2005年にスタートした排出量取引です。

EUの排出量取引のしくみです。
企業は国なら二酸化炭素排出量の枠を割り当てられ、 それを超えた分は削減が義務付けられます。 A社は大幅に削減し、枠よりも減らすことができました。 その分を、排出権として売り出すことができます。 削減できなかったB社は、こうした排出権を買うことで、削減義務を達成したとみなされるのです。 排出量取引は、企業の経営を大きく変えています。

イギリスの大手電力会社です。
二酸化炭素の排出量が多く、政府に課せられた削減義務を達成するには多額のコストが掛かります。 まず、二基の石炭火力発電所の閉鎖を決め、自然エネルギーに転換するなど、対策を進めました。 足りない分は市場から排出権を買って、なんとか削減義務を達成しました。

EUでは、炭素に価格が付いたことで、二酸化炭素を出さない自然エネルギーへの転換が急速に進んでいます。 スターン博士が言う、経済的な動機付けが、温暖化対策に大きく貢献しているのです。

政府から削減義務を課せられる前に、自主的に二酸化炭素の排出量をゼロにしようという企業も現れました。

ロンドンの金融街。
世界最大規模のこの銀行は、2005年、大手金融機関として世界で始めて、 業務から出る二酸化炭素をゼロにすることに成功しました。 まず着手したのは、行員一人ひとりの働き方を見直すことでした。 調べた結果、世界中に支店を持つこの銀行では、行員一人あたりの二酸化炭素排出量の20パーセントが、 出張の際の移動から出ていたことがわかりました。 そこで、出張を減らすためテレビ会議システムが導入されました。 等身大のモニターを設置し、臨場感を出しています。 この日は、ロンドンと香港を繋いでテレビ会議が行われました。 テレビ会議システムは個人の机にも設置されています。
また本社では、会議で出される飲み水を、ミネラルウォーターから水道の水に変えました。
本社地下室。ここで、浄水器を通した水道水を自前の瓶に詰めています。 ミネラルウォーターは産地が遠く、輸送の際に二酸化炭素を多く出すため、水道水に切り替えたのです。
こうした努力によって、グループ全体では二酸化炭素排出量を7パーセント削減。 社内の取り組みで削減できなかった分は、風力発電を作る事業などに8500万円を寄付することで、削減したとみなしました。

HSBC GIF Climate Change Fund

HSBC環境担当役員
環境に配慮しているという、ブランドイメージが重要です。我々は、世界中の顧客のニーズに敏感です。 二酸化炭素削減は、ビジネスに直結しているのです。

企業の中には、製品が消費者の手元に届くまでにどれだけ二酸化炭素を出しているのか、知らせる動きも始まっています。 イギリス最大手のこのスーパーは、全店舗で売る商品の内、飛行機で運ばれたものに空輸ラベルを付けています。 消費者は、こうしたラベルによって輸送の際に二酸化炭素が多く排出されたことが一目でわかり、 選らぶ際に参考にすることができます。

イギリス最大手スーパーの空輸ラベル

温暖化が地球規模の課題となる今、二酸化炭素の排出に関わる情報を積極的に社会に知らせていくことが企業の責任だと、スターン博士は言います。


ニコラス・スターン博士
情報を消費者に伝えることは、企業の責任でもあります。 ものを売る人は、自分の商品に二酸化炭素の排出量を表示することができます。 消費者は、レジでお金を払う時に、その日買ったものからどれだけ二酸化炭素が出ているのか知ることができます。 フランスではもう電力料金の請求書に、どのくらい二酸化炭素を出して発電された電気なのか、ちゃんと書かれているんですよ。 二酸化炭素を出しているという意識を持つことがいちばん大事なことなのです。


二酸化炭素への意識の高まりは、カーボンオフセットと呼ばれる新たなサービスを生み出しました。 自分たちが出した二酸化炭素の足跡を消すというサービス。いったいどんなしくみなのでしょうか。

イギリスのカーボンオフセット・マーク

個人や企業は、自分が出した二酸化炭素の量に応じて、カーボンオフセットサービスにお金を支払います。 お金は、途上国での自然エネルギーの普及や植林など、温暖化対策に使われます。 こうして削減できた二酸化炭素を、お金を払った人の削減とみなすサービスです。
去年(2007年)は、こうしたカーボンオフセットによって100億円を超えるお金が、途上国などでの二酸化炭素の削減事業に使われました。 個人の意識が変わることが、二酸化炭素を出さない社会に向けた大きなお金の流れを生み出しています。


ニコラス・スターン博士
あなたは自分自身の行動を変えることができます。
自転車に乗る。
カーボンオフセットをする。
公共の交通機関を利用する。
断熱材を使って家を温かくする。
エアコンや暖房の温度設定を変える。
部屋を出る時には電気を消す。
個人でできる行動は沢山あります。お金や時間の節約にもつながりますよ。 二酸化炭素を減らしても、経済成長が止まるわけではありません。 もしろ今よりも、多くの恵みを受けることができます。 騒音が減り、静かになります。 森が復活し、いろんな生き物が命を繋ぐことができます。 低炭素社会は、とても魅力的な社会だと私は思います。


ニコラス・スターン博士
地球規模で低炭素社会を作り上げる責任は、まず、先に豊かになった先進国にある。


2050年までに地球規模で二酸化炭素の排出量を半減することにとどまらない、先進国の更なる努力を求めました。


ニコラス・スターン博士
日本には真摯に環境に取り組んできた長い歴史はあります。 エコカーの技術開発でも日本は世界のリーダーです。 太陽光や風力発電の技術もトップレベル。 どれも低炭素社会に移行する上で必要な技術です。 日本には、温暖化対策で世界をリードする責任があります。 同時にそれは大きなビジネスチャンスです。 新しい技術を世界中が待ちわびているのですから。

 

26th Jan. 2008
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