♪ WARATTE SPECIAL ♪

TOMORROW 地球の奇跡、日本の農のめぐみ The miracle of the earth - agriculture in Japan いのちは支えあう 第3次生物多様性国家戦略 BIODIVERSITY

♪ WARATTE PHOTO REPORT ♪


♪ MAIL ♪

Your voice is welcome メールを送信する メッセージフォームをつかう


未来への提言 希望ある未来を切り開くために 地球温暖化に挑む
NASAゴダード宇宙研究所所長ジェームズ・ハンセン博士からのメッセージ
地球エコ2008



◆ イントロダクション


地球温暖化。
人類がかつて経験したことのない危機が間近に迫っています。

宇宙からの目が加速する温暖化の姿を捉えました。氷大陸、南極に現れた異変。NASAの科学者は警告します。

NASAジェームズ・ハンセン博士
我々が温室効果ガスを出し続ければ危険なポイントを超えてしまいます。危機を回避するために残された時間はあと数年です。

温暖化を食い止める鍵は二酸化炭素の削減です。 ヨーロッパでは、産業革命以来の大転換が始まろうとしています。

二酸化炭素を常に意識する新しい価値観が人々の暮らしやビジネスを大きく変えようとしているのです。 世界的経済学者は、「この転換は人類の生存をかけた挑戦だ」と訴えます。

経済学者 ニコラス・スターン博士
経済のしくみを変えれば、二酸化炭素の排出を減らしながら経済成長を続けられる社会が実現できます。

私たちは危機を乗り越えられるのでしょうか。



◆ NASAゴダード宇宙研究所所長ジェームズ・ハンセン博士のメッセージ


ニューヨーク、マンハッタンにあるNASAゴダード宇宙研究所。 ここはNASAの地球温暖化予測チームの本拠地です。 およそ150人の研究員が、地球の気候を再現するコンピューター・モデルをつくり、 未来の予測に取り組んでいます。 この研究所の所長を務めるのがジェームズ・ハンセン博士です。

ハンセン博士は、1970年代から温暖化のメカニズムの研究を始め、 将来、人間の活動が大規模な気温上昇を引き起こすと予測。 一刻も早い対策が必要だと社会に訴え続けてきます。

NASAの主要な任務一つが地球の観測です。 アース・オブザービング・システムと呼ぶ衛星のネットワークによって 地球の状態をリアルタイムで観察しています。 17の衛星が、

  • 大気の成分や水の動き
  • 地表の変化
  • 海面の水位や温度
  • 氷の面積

など膨大なデータを収集し、温暖化の分析に役立てているのです。


ジェームズ・ハンセン博士
私は地球の危機だと思っています。非常事態です。 今起きていることは、まだあまり目には見えにくいので、 一般に人たちには理解が難しいかもしれません。 でも、気候を注意深く観察している人は気付いているはずです。 数十年前に比べて、今は少し違う。 春が一週間ほど早く来て、秋は少し長くなり、 夏に暑い日が増えたと感じているでしょう。 まだ大きな変化には見えないですが、実はこれは大問題なのです。 目に見える変化がまだ小さいのは、地球のシステムが今までの状態を保とうとする力を持っているからです。 海は平均4000メートルもの深さがあり、人間が起こした変化に反応するまでに、時間がかかります。 しかし、その間にも温暖化は進行しているのです。


この100年、地球の平均気温は上昇を続けています。 温暖化の原因については、自然の変動なのか、それとも人間のせいなのか。 長年議論が続いていました。 しかし、観測データの集積によって予測の精度が上がった結果、 世界の3000人の科学者の集まりである国連IPCCは、去年(2007年)ついに 温暖化は人間の活動の影響だとほぼ断定しました。 このまま二酸化炭素の排出が増加した場合、2100年に平均気温は何度上昇するのか。 ハンセン博士は現在より2.7度上昇すると予測。 これは日本のチームの予測より低めの値ですが、 もし100年で2.7度上昇すれば、大規模な気候変動を引き起こすと警告しています。

今より2度上がると、海水の温度も上昇し、熱帯性低気圧が急速に成長するため、 台風やハリケーンが強さを増します。最大風速も強まり、甚大な被害をもたらします。 大雨も増加。世界各地で洪水のリスクが高まり、多くの人が命や財産を失います。 100年に一度しか起きなかったような熱波や干ばつが、より頻繁に起きるようになります。 対策をとる余裕の無い貧しい国々を中心に、水不足が深刻化。 食糧生産が減って、飢餓や栄養失調に陥る人が増加します。 多くの人々が故郷や家を失い、難民になるとみられています。 温暖化は、私たちの生活基盤を大きく破壊してしまうのです。


ジェームズ・ハンセン博士
地球の平均気温がわずか1度か2度上昇しただけで、 地球は今とはまったく違った姿となり、多くの生物種は絶滅してしまうでしょう。 このまま温暖化が進んでいくと、私たちは後戻りできない危険なポイントを超えてしまうかもしれません。 それは、非常に大きな気候変動を引き起こします。


2007年夏。日本はかつてない猛暑に襲われ、観測史上最高の40.9度を記録しました。 その時、北極でも世界の科学者を驚かせる異変が起きていました。 これは、NASAの衛星で観測した北極海の夏の海表面積の変化です。 この30年間ずっと減少傾向にありましたが、 去年(2007年)は急激に減少して、過去最小を記録。 これまでの予測を30年以上先取りする急速な変化でした。 また、南極大陸でも温暖化の兆候が現れていたことが新たに判りました。
南極大陸は、氷床と呼ばれる 厚さが最大4000メートルの分厚い氷で覆われているため、 内陸部は温暖化の影響を受けにくいと考えられてきました。 そころが去年(2007年)NASAが南極大陸の衛星画像をくわしく 分析した結果、内陸部の西側の広い範囲で、表面の雪が解ける という異常な事態が起きていたことが初めて明らかになりました。 広さ42万平方キロメートル。日本列島とほぼ同じ広さです。
北極や南極の広大な氷は、地球を温暖化から守る大切な役割は果たしています。 白い表面が太陽光線を反射するため、熱を吸収しにくく、地球の大気を冷やす効果があるからです。 ハンセン博士は、極地の氷が解けるスピードが加速していることに懸念を示しています。 将来、小さな変化が突然巨大な変化を引き起こす危険なポイント、 ティッピング・ポイント [ tipping point ] を越える可能性があるというのです。


ジェームズ・ハンセン博士
ティッピング・ポイントとは、ある現象が突然急激で大きな変化を起こす臨界点のことです。 温暖化によって起こる現象が、ますます温暖化を進め、 連鎖的で大規模な変化を引き起こしてしまうのです。 非常に深刻な事態をまねくティッピング・ポイントが、 南極とグリーンランドの氷床で起こる可能性があります。 我々が宇宙から観察した結果、これらの氷床は、急速に変化する恐れがあります。 5年ほど前に打ち上げた重力を測定するNASAの衛星によって、 グリーンランドや南極の氷床の質量が高い精度でわかるようになりました。 グリーンランドの氷床は今年間150立方キロメートルづつ減少しています。 南極西部の氷床もほぼ同じ割合で減少しています。 今はまだ大規模な海面上昇につながるような規模ではありません。 しかし問題は、氷床が解けるスピードが速くなり始めていることです。 氷床が将来、大崩壊を起こす危険性があるのです。


南極大陸の氷床は、地球上の淡水の70パーセントを占める巨大な氷の塊です。 氷床が海に張り出した部分を棚氷(たなごおり)といいます。 氷床が海に流れ出さないように外側から守り、安定させる蓋の役割を果たしています。 ハンセン博士は、温暖化が進んでティッピング・ポイントを越えると、 氷床が解けて海に流れ出す可能性があると考えいます。

気温が上がると氷床に水溜まりができます。 水は氷に比べて色が濃いため太陽熱を吸収して暖まり穴を広げます。 しだいに氷は穴だらけとなりもろくなります。 また、海の水温の上昇で棚氷も下から薄くなっていきます。 やがて棚氷が割れて海に落ちます。 この時氷床はティッピング・ポイントを越えます。 蓋をしていた棚氷が無くなり、陸の巨大な氷が次々に崩れ落ちるのです。
2002年。温暖化の影響と考えられる大規模な棚氷の崩壊が実際に南極で起こりました。 NASAの衛星がその姿を捉えました。 ラーセンBと呼ばれる東京都の1.5倍ほどの広さの大きな棚氷が、わずか35日間で崩落したのです。 この時、7200億トンの氷が海に流れ出しました。


ジェームズ・ハンセン博士
最初の変化は非常に小さいものです。 しかし、或る時、突然大きな変化が起こり氷床が大崩壊するのです。 いつ起こるか予測するのは、非常に困難です。 しかし、地球の過去の歴史を調べると、氷床の崩壊は何度も起きています。


氷床の崩壊は海面の水位に大きく影響します。 陸地にあった氷が解けることで水位が上がるからです。 これは過去45万年の気温と海面水位の変化です。 気温と海面水位は、ほぼ同じように上下動し密接な関係があることがわかります。 ハンセン博士は、今から14000年前、最後の氷河期の終わりに起きた大変動に注目しています。 この時、大幅に気温が上昇すると共に、100年あたりで5メートルという、急速な海面上昇が起きていたのです。


ジェームズ・ハンセン博士
南極の巨大に氷床が崩壊した場合、海面水位が100年以内に1メートル以上、 おそらく数メートルの急激な上昇を起こす可能性があります。大変危険です。 世界の多くの都市は海沿いにあり膨大な人口が暮らしているからです。 私の考えでは、このまま二酸化炭素を出し続ければ、海面水位の大幅な上昇は避けられません。


海面上昇は、世界各国に大きな被害を及ぼします。 ツバルやモルディブなどの珊瑚礁の島国は、国土のほとんどを失います。

日本でも被害が予測されています。 東京などの大都市圏は海に面しているからです。 これは東京湾の海面上昇に伴う被害地域の予測図です。 およそ60センチの海面上昇が起き、満潮時に台風による高潮が襲うなど、最悪の場合を想定しています。 赤色が水没・氾濫の恐れがある地域です。 1メートルに満たない海面上昇でも首都圏の400万人以上が影響を受けると予測されています。

筑波大学、三村信男教授研究室

また、ニューヨークや上海など、世界の多くの大都市が海に面しています。影響は計り知れません。

しかし、海面が100年以内に数メートル上昇する可能性については、 世界の科学者の間でも議論が分かれています。 国連IPCCは、今世紀末までの海面上昇を、18センチから最大で59センチと予測しています。 しかし報告書には、「但し書き」が付けられています。 氷床についても研究がまだ限られているため、この予測値には、 将来における急速でダイナミックな氷の流れは考慮していない


ジェームズ・ハンセン博士
残念ながらこの温暖化の問題に関しては、 慎重に研究し、議論し、98パーセント確実という答えを出してからでは遅いのです。 我々は、氷床の崩壊が起こるのを許すわけにはいきません。 もし、ティッピング・ポイントを越えたら元に戻すことは不可能です。 気候は人類のコントロールを越え、大変な被害を引き起こします。 後10年議論しようというような時間は無いのです。 数年以内に行動を起こさなければなりません。 過去の地球の歴史をみれば、現在よりもあと1度高い気温になった時、 海面水位が大きく上昇し始めていることを、忘れてはならないのです。

 

25th Jan. 2008
経済学者 ニコラス・スターン博士からのメッセージ
Go Report Index

 

Feel the earth 地球温暖化関連レポート on Web Magazine Waratte ! No Smile No Life

2007.12.11
地球温暖化森林破壊を食い止めろ
2007.12.20
愛媛県宇和海でいま何が、変わる宇和海の生態系
2008.01.01
地球エコ2008この星の中にわたしたちは生きている
2008.01.09
地球データマップ 温暖化する地球
2008.01.25
NASAゴダード宇宙研究所所長ジェームズ・ハンセン博士からのメッセージ
2008.01.26
経済学者 ニコラス・スターン博士からのメッセージ
2008.01.28
温暖化対策、ヨーロッパからの新しい風、カーボン・マネージメント
2008.01.29
温暖化対策、ヨーロッパからの新しい風、低炭素都市への挑戦、ロンドンの事例
2008.02.08
CO2の「見える化」
2008.02.27
地球温暖化 異常気象 海からの警告
2008.04.20
ママさんと子ども達の笑顔でいっぱいのベビーアースデイ・エリア
2008.04.20
クリスタルボーイ・楯恵太くんのラップ・パフォーマンス
2008.04.30
Feel Green Campaign 高尾山・水をめぐる冒険、ストップ・ザ・トンネル工事
2008.05.11
環境指標による地球環境レポート
2008.05.13
Solar Power Sizzles 太陽電池の普及
2008.05.19
UNFCCC の事務総長 Yvo de Boer 氏、欧州特許フォーラムでスピーチ
2008.05.20
CO2削減 日本の技術は活かせるか
2008.05.22
どう進める CO2大幅削減
2008.05.25
「いのちは支えあう」 第3次生物多様性国家戦略
2008.05.29
India's Water Crisis -インドの水危機-
2008.05.30
北極大変動 氷が消え悲劇が始まった
2008.05.31
幸せの経済学・GNPからGNHへ
2008.06.05
たんぼと稲と日本-神聖な大地 Sacred Fields-
2008.06.11
北極大変動 氷の海から巨大資源が現れた
2008.07.02
海が枯れる 温暖化で忍び寄る危機
2008.07.03
地球データマップ 汚染される惑星
2008.07.14
11人の若い環境戦士-11 YOUNG ECO-WARRIORS
2008.08.14
地球データマップ 都市文明とヒトのゆくえ
2008.08.20
持続可能な国づくりのために ブータン新憲法に学ぶ
2008.09.07
「環境日本学」を創る
2008.09.21
水道水使用の宣誓をしたレストラン-Restaurants Take the Tap Water Pledge
2008.11.20
自動車社会のターニングポイント
2008.11.22
地球データマップ どうする大量消費社会
2008.12.05
圧電素子がエネルギーの未来を切り拓く
2008.12.14
CO2 マイナス50%  エコプロダクツ2008  レポート