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2009.06.10
地元学をはじめよう 吉本哲郎著
ポンテ:
読書感想文
「地元学をはじめよう」吉本哲郎著 (岩波ジュニア新書)
都会を離れると半分以上もしくはほとんどのお店がシャッターを下ろしている商店街、元気をなくして細々と経営されている企業などが目につくようになりました。何とか再生できないものかと私自身考えていたところ、本屋でこの本を手にすることになりました。
筆者の吉本哲郎さんは水俣市出身。水俣病問題で壊滅状態であった水俣は、住民が協力して立ち上がり、環境都市を目指して行動したことで元気を取り戻した町です。 このことから、水俣は地元学の先進地と呼ばれてきました。
「地元学は、三つの元気をつくることをめざしています。人が元気で、地域の自然が元気で、経済が元気であることです」と、吉本さんは書いています。
水俣の再生は「『もやいなおし』という壊れてしまった人と人の関係をやり直すこと」から始まりました。水俣の人間であると言うだけで悪口を言われ差別を受けてきた人間関係をやり直す努力です。その経験から、
「 1.人それぞれの違いを認め合い
2.人と人との距離を近づけ
3.話し合い
4.対立のエネルギーを創造のエネルギーに転換する 」
という原則が導きだされました。水俣再生の取組み全て、そして地元学のベースとなった原則です。
こうして元気になった人々は、自分たちで「あるもの」(既に存在しているもの、⇔ないもの)を調べ、考え、「あるもの」を新しく結びつける力を身に付けて元気をつくっていきます。これが地元学の目的です。
吉本さんは気づきます。
「あたりまえこそすごいことだ。あたりまえにあることを探そう。でも外の人でないと気づきにくいから、外の人たちと一緒に調べよう。あるもの探しだ。何もないところから新しいものは生まれない。新しいものとはあるものとあるものの新しい組み合わせなのだ」
そして、「ないものねだり」をやめて「あるもの探し」で、地域の宝を探していきます。
本書では、水俣市だけではなく、元気を取り戻したその他の町や村の事例も紹介されています。こんなご時勢だからこそ地方には、不況に揺るぐことなく豊かな町や村づくりができる可能性があるはずです。
地域の皆さんが、協同で連携し合い、地元に学び、優れたところを伸ばし、地域再生を実現していく指針となる一冊です。また、地域だけでなく自分自身についても「ないものねだり」から「あるもの探し」をするきっかけにもなると思います。

