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200.08.09
カラスと天職
カブキ:
オフィスのベランダの向こうに広がる青空を数本の黒い線が横切る。
春頃、一羽のカラスが黒い線の上で威勢よくカーカーをやり出した。
しばらく日後にもう一羽がやってきて、これまたカーカーをやり出したもんだから、
先に、ベランダの視界一帯を陣取っていた先カラスが負けじとガーガーガーをやって、後カラスを追っ払っている。
そのうち二羽のカラスに微妙な距離感の和平が成立したのか、相対する鳴き声がハーモニーに変わった。
そして六月頃、二羽の調和の隙間にもう一羽が割り込んできた。
鳴き声が一層大きく響き渡り、三羽の陣取り合戦の火蓋が切って落とされた。
「三人集うと『社会』が始まる」とはよく言ったもんで、
それまで微妙なハーモニーを奏でていた二羽の関係も御破算。
三羽の関係は、或る時は一対一対一で、また或る時は二対一。
またまた或る時は一対二と、その時その時で、関係模様の彩りは変化する。
陣取り合戦は七月に入っても終わる様子はなかったのだが、八月になるとピタリと鳴き声は聞こえなくなった。
カラスの姿もなくなっている。
どうしたんだろうと、こんなことを想像してみた。
カラスも夏休みやってるんだな。
カラスをする事を休んでいるカラスだ。
黒い服を脱いで、パンツ一丁になってうちわであおいでいる。
胡坐をかいたり寝転がったりしてゴロゴロしている。
カラスでいる時といない時。
どちらも本当のカラスの姿だとしたら、一つの生きものに、二つの個性があるもんだ。
お天道様から言い付かった役目を演じているのは普段目にするカラスの姿の方。
この姿はカラス等の仕事。天職というもんだ。
これを僕たちヒトに置き換えてみらたどうなんだろう。
これをヒトという僕に置き換えてみらたどうなるんだろう。
今は結論出せないけど、人生とは、その答えを探す旅なのかもしれないな。
たわい無い想像だけど、何かを感じることが出来た気がしておもしろいもんだ。
早秋になればカラスをやりに、またこのベランダの視界に現れることを楽しみにして、ブラインドを降ろした。
